• 他の人はどんな資産分配で投資してるんだろう?
  • アセットアロケーションの具体例が見てみたい
  • 何に投資したら資産を効率的に増やせるの?

アセットアロケーションを組み立てようとしても、何か指標が無いと難しいですよね。

この記事では30代、40代、そして50代と、各世代ごとのアセットアロケーションを例示します。
個々の経済状況に大きく左右されるので、あくまで一般論としてですが。

結論としては歳をとるごとにアセットアロケーションはリスクを下げて保守的にすべきです。
投資の出口に向けて資産構成をどのように変化させるのか、わかりやすく解説します。

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この記事で考えるアセットアロケーションの前提条件

冒頭でお伝えした通り、アセットアロケーションは個々の経済事情に大きく左右されます。

なのでまずは前提を揃えるために、年代と金融資産を決め打ちします。

  • 30代:金融資産500万円ほど
  • 40代:金融資産1,000万円ほど
  • 50代:金融資産2,000万円ほど

投資に積極的な人が見ているとして、こんな仮定で進めてみましょう。
加えてもう少し条件を追加します。

  • この記事で取り扱うのはリスク資産の内訳のみ
  • 無リスク資産(生活防衛費)は先に取り分けている前提

投資は余剰資金で。
精神的な余裕を保つためにも、絶対に守るべき秘訣です。

では前置きはこのあたりで、さっそく本題に入ります。

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【30代】資産を増やす攻めのアセットアロケーション

30代のアセットアロケーション
30代のアセットアロケーションの一例。金融資産500万円ほどを想定。

30代のアセットアロケーションで一番重視するのは、株式のボラティリティに慣れること。
※ボラティリティとは値動きの幅のこと。

株式100%とした理由は3つ。

  • 収益のメインである株式のボラティリティに慣れるため
  • 仮にろうばい売りしても人的資本で取り返しやすいから
  • 金融資産が相対的に少なく5割減っても絶対値でのダメージが少ないから

長期積み立て投資で収益の柱になるアセットは株式です。
値動きが激しく、暴落すると半値になることもあります。

30代はまだ投資歴の浅い人が多いので、まずは株式のボラティリティに慣れるのが最優先。
その理由は、慣れていれば暴落に直面しても、ろうばい売りせずに済むから。

自分に限ってろうばい売りなんてしない。
そう思っていても、毎日資産が減っていく恐怖は一度体験してみないと理解が難しいものです。

これから30年以上続くであろう投資家人生の準備段階。

実際に株式100%で投資すると、どれくらいの値動きを体験することになるのか。
バックテストで確認してみましょう。

株式100%で20年投資したチャート
株式100%で投資すると上がり下がりの激しいチャートに。
株式100%で20年投資した騰落率
単年で見ると最高リターンが33.35%、最低リターンが-37.04%。
株式100%で投資したケースの各種指標
30代
平均成長率
(年率)
9.35
標準偏差
(%)
15.06
最高リターン
(年率)
33.35
最低リターン
(年率)
-37.04
最大下げ幅
(%)
-50.89
シャープレシオ 0.59

株式100%の魅力はなんといっても高い平均成長率
バックテストでは年率約10%というかなり高い数値を出しています。

72の法則に当てはめると約7年で資産が2倍になる計算です。
※72の法則とは72を利率で割ると何年で資産が倍になるかわかる法則。

その代償は最大下げ幅
大きな金融危機に巻き込まれたら資産の半分が吹き飛びます

500万円の金融資産があるとしたら、一時的に250万円になるということ。

余剰資金で投資できていれば、株価の回復を待てるはずです。
なにより人的資本が大きいので、いかようにも取り返せます。
※人的資本をざっくり説明すると、年収×これから働く予定の年数。

長期積み立て投資で収益の柱になる株式。
このボラティリティと長らく付き合っていくためにも、30代で資産500万円ほどの方のアセットアロケーションは、株式100%がよいのではと思います。

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【40代】債券を混ぜて株式との違いを体感する

40代のアセットアロケーション
40代のアセットアロケーションの一例。金融資産1,000万円ほどを想定。

40代のアセットアロケーションでは、リスクを意識して債券を混ぜます。

株式75%・債券25%とした理由は2つ。

  • 伝統的資産のひとつである債券の特徴を理解するため
  • 人的資本でカバーできる範囲にリスクを抑えるため

株式と並ぶ伝統的資産として挙げられる債券
こちらは収益ではなくリスクコントロールの柱です。

人は一度得たものを失いたくない生き物です。
金融資産は特に顕著でしょう。

株式100%で投資をして、株価が50%下落したとしましょう。

  • 資産500万円→250万円の損失
  • 資産1,000万円→500万円の損失

当たり前のことですが、株価50%の下落に対して、金融資産が多いほうが損失が大きくなります。
500万円の損失で平常心を保てる人は、そう多くはないでしょう。

その対策で使うのが債券。
ボラティリティが低く、アセットアロケーションにコシの強さを加えてくれます。

株式75%債券25%で20年投資したチャート
株式100%と比べると上がり下がりが少しマイルド。
株式75%債券25%で20年投資した騰落率
単年で見ると最高リターンが25.14%、最低リターンが-26.52%。
株式75%債券25%で投資したケースの各種指標
40代
平均成長率
(年率)
8.30
標準偏差
(%)
11.12
最高リターン
(年率)
25.14
最低リターン
(年率)
-26.52
最大下げ幅
(%)
-38.68
シャープレシオ 0.67

株式100%と比べて、平均成長率を1%犠牲にするだけで最大下げ幅を10%以上改善しています。
(株式100%の平均成長率は9.35%、最大下げ幅は-50.89%)

株式に比べて債券はボラティリティが低いです。
また両者の相関も低いので、アセットアロケーションに加えるとシャープレシオの改善につながります。
※シャープレシオとは投資効率のこと。利益をリスクで割って求める値。

このほか債券には安定して利息が得られるというメリットも。
高配当株式ほどではないですが、米国債券なら2%前後のインカムも狙えます。

資産額が大きくなるほど、リスクヘッジとして重要度が増す債券。
その特徴をつかむために、40代で資産1,000万円ほどの方のアセットアロケーションは、株式75%・債券25%がよいのではと思います。

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【50代】シャープレシオを最大化して投資効率を高める

50代のアセットアロケーション
50代のアセットアロケーションの一例。金融資産2,000万円ほどを想定。

50代のアセットアロケーションで最も重視するのは、オルタナティブも加えたシャープレシオの最大化。

株式45%・債券45%・ゴールド10%とした理由は3つ。

  • 40代よりさらに人的資本が減ることに対するリスクヘッジが必要だから
  • さらなる分散のためにオルタナティブを組み込んだから
  • 取り崩しを意識してシャープレシオを高めるため

資産が2,000万円にもなると、50%下落したら1,000万円の損失です。
50代なら現実的に定年も見えてくる年代であり、自分で働いて取り返すのは至難の業

だからこそより安定したアセットアロケーションが必要です。
そのために債券の割合を増やすとともにオルタナティブである金を加えました。

金は株式や債券と相関が低いので、シャープレシオをさらに高められます。
加えてインフレヘッジにもなる、債券とは違った角度からのリスクヘッジです。

株式45%債券45%ゴールド10%で20年投資したチャート
株式45%債券45%ゴールド10%で投資すると、かなりマイルドなチャートになる。2008年のリーマンショックや2020年のコロナショックが顕著。
株式45%債券45%ゴールド10%で20年投資した騰落率
単年で見ると最高リターンが19.45%、最低リターンが-13.90%。
株式45%債券45%ゴールド10%で投資したケースの各種指標
50代
平均成長率
(年率)
7.38
標準偏差
(%)
7.16
最高リターン
(年率)
19.45
最低リターン
(年率)
-13.90
最大下げ幅
(%)
-21.31
シャープレシオ 0.86

株式75%・債券25%と比べて平均成長率を1%ほど犠牲にして、最大下げ幅は20%近く改善しています。
(株式75%・債券25%の平均成長率は8.30%、最大下げ幅は-38.68%)

ゴールドは有事の金ともいわれ無国籍通貨に似た側面があります。
資産の1割ほど保有していれば、安心感が段違いです。

ただしオルタナティブはあくまで代替品。
資産のコアとして取り扱うものではないので、サテライトとして添えるだけに留めましょう。

シャープレシオを最大化するために、株式・債券・オルタナティブの3つのアセットから構築するアセットアロケーション。
取り回しの良さを考えると、50代で資産2,000万円ほどの方のアセットアロケーションは、株式45%・債券45%・ゴールド10%がよいのではと思います。

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若く資産が少ない内は平均成長率を求めて歳をとって資産が増えたらシャープレシオを重視する

アセットアロケーションごとのチャートの比較
例示してきたチャートの比較。
アセットアロケーションごとの騰落率の比較
例示してきた騰落率の比較。
例示してきたアセットアロケーションの指標比較
30代 40代 50代
平均成長率
(年率)
9.35 8.30 7.38
標準偏差
(%)
15.06 11.12 7.16
最高リターン
(年率)
33.35 25.14 19.45
最低リターン
(年率)
-37.04 -26.52 -13.90
最大下げ幅
(%)
-50.89 -38.68 -21.31
シャープレシオ 0.59 0.67 0.86

以下の2つの理由により、徐々に保守的なアセットアロケーションに変えていくのがセオリーです。

  • 年齢を重ねるごとに人的資本が減って金融資産が大きくなる
  • 同じ割合の下落でも金融資産が多いほど損失額が大きくなる

ここで意識しておきたいのがシャープレシオ。
どれだけ効率的に投資できているかを判断する指標です。

シャープレシオが大きくなるようにアセットアロケーションを組み替えていく。
そうすることでリスクに強い資産構成を作り上げられます。

チャートを眺めていると、どうしても始点と終点の2つに目線を奪われます。
ですが実際に投資するというのは、その間にある波を全て経験していくということです。

若いうちにリスクを追い求めるのはアリだと思います。
ですが取り崩しを意識する段階においては、どれだけ騰落率の幅が狭いアセットアロケーションを組めるかも重要なポイント。

まずはお手軽に株式100%から投資を始める。
最終的にはシャープレシオ最大化を目指していく。

これが世代に応じたアセットアロケーションの変化に対するひとつの回答です。

これを機にアセットアロケーションについて深堀したい!
という人は以下の記事も併せて読んでみてください。

参考サイト

記事執筆にあたり、参考にさせていただいたサイトの一覧。