「投資信託の目論見書、重要だといわれるから見たけど、難しすぎてサッパリわからない!」
こう思う方も多いのでは。
わたしも最初は全然分かりませんでした。

でも分からないままでいると、知らずにぼったくりファンドを買ってしまうかも・・・。

そんな心配とももうお別れ!
目論見書を隅から隅まで読まなくても、4つのポイントを押さえるだけで、必要な情報は揃います。

  • ファンドの目的・特色
  • 投資リスク
  • 運用実績
  • 手続・手数料等

この記事では実際の目論見書を見ながら、4つのポイントを解説します。

この記事を読めば、あなた自身が目論見書を読み進めて、投資信託の中身を理解できるようになります。

インフルエンサーが勧めていた投資信託だから、ではなく。
自分で中身を理解して、納得したうえで投資できるようになりましょう。

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目論見書とは投資信託のマニュアル

投資信託の重要な情報をまとめた資料、それが目論見書

目論見書には大きく2種類あります。

  • 交付目論見書

    投資家に必ず交付しなければいけない。
    投資信託の基本的な情報が記載されている。

  • 請求目論見書

    投資家から請求があれば交付する。
    投資信託の沿革や経理状況などの詳細な情報が記載されている。

目論見書、とだけ書かれていれば、交付目論見書を指すことが多いです。
※基本的に読む必要があるのは交付目論見書だけ。少なくともわたしは投資判断のために請求目論見書を見たことはありません。

この記事では交付目論見書の読み方を解説します。

目論見書は証券会社や運用会社のHPで見れます。
『ファンド名 目論見書』で検索すればヒットするでしょう。

【目論見書の読み方】重要ポイント4選

【目論見書の読み方】重要ポイント4選

目論見書って専門用語が多いし、長くて読む気が起きない!
そう思うのも無理はありません。

でも全部読む必要はないんです。
重要なポイントは4つだけ。

  • ファンドの目的・特色

    何に投資しているか

  • 投資リスク

    値動きの要因は何か

  • 運用実績

    基準価額や純資産額

  • 手続・手数料等

    信託期間と信託報酬などのコスト

ここから先はインデックスファンドアクティブファンドの目論見書を比べながら解説を進めます。
それぞれの目論見書に何が書かれているのか、じっくり見てみましょう。

  • インデックスファンド

    eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)
    (以下、eS全株)

  • アクティブファンド

    農林中金<パートナーズ>長期厳選投資 おおぶね
    (以下、おおぶね)

【ポイント1】ファンドの目的・特色

eS全株 おおぶね
目的 日本を含む先進国および新興国の株式市場の値動きに連動する 投資信託財産の中長期的な成長
投資方針 MSCI オール・カントリー・ワールド・インデックス(配当込み、円換算ベース)をベンチマークとする 圧倒的な競争力を有する企業への長期厳選投資により投資信託財産の中長期的成長を目指す
主要投資対象 主として対象インデックスに採用されている日本を含む先進国および新興国の株式等への投資を行う 米国の上場株式を主要投資対象とする

ファンドの目的・特色でみるべきポイント。
それはインデックスファンドアクティブファンドのどちらなのか。

  • インデックスファンド

    どんな指数をベンチマークとしているか

  • アクティブファンド

    主要投資対象は何か

この段階でややこしすぎる投資信託は考え直した方がよいでしょう。
まともな投資はいつだってシンプルなものです。

例に挙げた投資信託は、というと・・・。

eS全株はインデックスファンド。
『MSCI オール・カントリー・ワールド・インデックス』をベンチマークとし、対象インデックスに採用されている全世界の企業が投資対象。
ベンチマークに連動した市場平均を狙う投資信託です。

おおぶねはアクティブファンド。
米国企業を主要投資対象とし、競争力の高い企業が投資対象に選ばれます。
企業価値を重視した投資スタイルです。

【ポイント2】投資リスク

eS全株 おおぶね
価格変動
リスク
株価変動の影響を受ける 株価変動の影響を受ける
為替変動
リスク
為替変動の影響を大きく受ける 為替変動の影響を受ける
信用
リスク
株式等の発行者の経営が悪化して、価格が下落する可能性がある
流動性
リスク
株式等を売却・取得するときに、市場に十分な需要や供給がなく、不利な価格での取引となる可能性がある
カントリー
リスク
投資対象国におけるクーデター等の影響で、価格変動・為替変動・信用・流動性の各リスクが大きくなる可能性がある

投資信託に元本保証はありません。
どんなリスクで基準価額が動くのか事前に確認しましょう。
※基準価額とは投資信託1口あたりの価格。

  • 価格変動リスク

    株価変動によるリスク。
    債券やリートを含む投資信託は、債券価格や不動産価格の変動もここに含まれます。

  • 為替変動リスク

    為替レート変動によるリスク。
    外貨建資産を扱う投資信託は、円高になれば基準価額が下がり、円安になれば基準価額が上がる傾向があります。

以下のリスクはeS全株にしか記載されていません。

  • 信用リスク
  • 流動性リスク
  • カントリー・リスク

その理由は新興国を投資対象としているから。
新興国では市場にまつわる法整備が未熟なため、これらのリスクが顕在化しやすくなります。

  • 信用リスク

    平たくいうと企業が倒産して株式に価値がなくなるリスク。

  • 流動性リスク

    有価証券の流通が少なく、任意のタイミング・価格で取引できないリスク。

  • カントリー・リスク

    クーデターやデフォルトなどで情勢が不安定になるリスク。

【ポイント3】運用実績

運用実績の読み方はとっても簡単。
基準価額と純資産が右肩上がりに増えているか、これだけ。

基準価額と純資産が右肩上がりならOK。
逆に右肩下がりだったら、投資を控えるのが賢明です。

【ポイント4】手続・手数料等

eS全株 おおぶね
信託期間 無期限(2018年10月31日設定) 無期限(設定日:2017年7月5日)
【ファンドの費用】
購入時手数料
ありません 上限2.20%(税抜2%)
※販売会社によって異なる。楽天証券では0%。
【ファンドの費用】
信託財産留保額
ありません ありません
【ファンドの費用】
信託報酬
年率0.1144%(税抜 年率0.104%)以内 年 0.99%(税抜 0.9%)
【税金】
分配時
配当所得として課税
普通分配金に対して20.315%
配当所得として課税
普通分配金に対して20.315%
【税金】
換金(解約)時及び償還時
譲渡所得として課税
換金(解約)時および償還時の差益(譲渡益)に対して20.315%
譲渡所得として課税
換金(解約)時および償還時の差益(譲渡益)に対して20.315%

手続・手数料等では信託期間や費用を確認します。
信託期間が無期限で、ファンドの費用が安いものを選ぶのがセオリーです。

  • 信託期間

    投資信託を運用する期間。
    信託期間が無制限で、長期運用しそうな投資信託を選びましょう。

  • 購入時手数料

    投資信託を購入するときに支払う手数料。
    ノーロードと呼ばれる、購入時手数料が無料の投資信託も増えてきています。

  • 信託財産留保額
    投資信託を売却するときに支払う手数料。
  • 信託報酬

    投資信託を持っているだけでかかる手数料。
    保有額に応じて毎年一定額支払うので、安いほどよいです。

  • 税金

    税金は基本的にどの投資信託でも同じ。
    分配金や売買で得た利益に対して20.315%課税されます。

例に挙げた投資信託を比べてみましょう。

インデックスファンドよりアクティブファンドの方が、ファンドの費用が高い傾向があります。
例にもれず、おおぶねの方が、購入時手数料と信託報酬が高いですね

ファンドの費用だけをみて優劣を決めることはできません。
ですが信託報酬は確実にリターンを押し下げるので、安いほうが良いです。

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投資信託の購入前に必ず目論見書をチェック!

ネットやTwitterで話題に挙がる投資信託。
そのファンド名をみただけで、この記事で紹介したポイントがパッと浮かぶ方は少数派でしょう。

  • ファンドの目的・特色
  • 投資リスク
  • 運用実績
  • 手続・手数料等

どれも投資信託を選ぶのに重要なポイントばかり。

ぜひ気になる商品の目論見書をあなたの目で確認してみてください。

参考サイト

記事執筆にあたり、参考にさせていただいたサイトの一覧。