今回インタビューさせていただく、カーネルさんを紹介します。
- 40代男性
- 投資家
- お子さん2人
- 投資経験20年以上
- 2021年末にFIRE達成
FIREを達成しても暇になるだけ?
そんなことはなさそうです。
一人でも多くの人が経済的自由を達成できるよう精力的に活動されている。
そんなカーネルさんの投資最初期の失敗談から、FIRE達成後の価値観まで。
いずれFIREしたいと思って投資している、もしくはその一歩を踏み出せないでいるあなたに。
こんな人でも失敗するんだという安心感や、今進められている活動への共感など、一つでも心に刺さるものがあれば嬉しいです。
多岐に渡る投機?経験『競馬もパチスロもデイトレードも』

まず最初に、投資を始めたきっかけを教えてください。

会社に入って持ち株会の説明を聞いて株に興味を持ち、最初のボーナスでライバル会社の株を買ったのが最初で、その次がトレードですね。
その時は同時に競馬とかもやったんですけど。
競馬ってご存知かわからないけど、テラ銭といって主催者に賭金の25%を取られるので、勝てないんですよ。

宝くじとかもエグいですよね。

勝てないなりに一生懸命やってて、株も同じレベルで考えていて。
株はテラ銭0%で手数料だけなので、極めれば勝てるんじゃないかって研究しだしたのがきっかけですね。
そこで資産が動くっていうことに慣れたので、それはいい経験だったかな。

なるほど、ありがとうございます。
トレードをされてたときは、デイトレードのイメージで細かく売買されて?

デイトレードか、スイングトレードって言われる3日ぐらい持って離すっていうのをやってましたね。

その時って大きく失敗したりしませんでしたか?

90%ぐらいうまくいって、残りの10%で全部吐き出すみたいな。
いわゆるコツコツドカンっていう、それの基本みたいな感じで。
初期の頃は多分プラスになったと思うんですよね。

すごい!プラスになってらっしゃったんですね。

そこからいろんなことを学んで、技術が向上するにつれて負けだすんですね。
その時にはもう自信があるから、ロットが上がってるんですよね。
競馬とかパチスロとかもやったんですけど、そっちと比べるとそんなには負けないですね。
回収率っていうと変ですけど100%なんで、それでもプラスにはならなかったですね。

回収率100%でもプラスにならないんですか?

トレードやってるとなかなか勝てないんですよ。
なんでかっていうと、資金量の豊富な機関投資家が、個人投資家が負けるように値動きを操ってくるんですね。
そういうのも学んで、機関投資家がどう考えるかを追っかけるようになってからは若干マシになりましたね。
機関投資家の動きを見極められるようになってからは、コバンザメって言うんですけど、機関投資家の値動きについていくようなトレードをやってましたね。
ただ労力の割にそんなに儲かりはしないので、米国株にたどり着いてからはやらなくなりましたね。

機関投資家っていっても、規模はいろいろですよね。
想像してたよりさらに規模の大きな機関投資家が参入してくることも?

値動きってデカい機関投資家が、どこまで出てくるかで一気に変わるんですね。
例えば毎日20~30円しか動かない株が、100円動き出したり、300円動いたり、500円動いたり。
どこまで動くか想像できないので、成功しててもさらにその上が来たら完全に負けるので、どこまでいっても予想なんですよね。

難しいですね。

それもデカい機関投資家の機嫌次第で、たまたま参加してこなかったら勝てるけど。
やっぱり気が向いてまだ行くわってなったら負けるっていう。
他人の行動で結果が決まる、いわゆる「ギャンブル」ですね。
投資生活の転機は『米国株の魅力に気が付いたこと』

次に米国株にたどり着いたいきさつを教えてください。

『株式投資の未来』とか『敗者のゲーム』っていう本があって。
インデックスに勝とうとしても無理やで、みたいな話なんですけど。
米国株が200年間成長し続けてるっていう事実と、預金とか債券とかゴールドとかの資産に比べて、もう明らかに期待値が高いと。
2008年にリーマンショックがあって、2010年ぐらいからほぼ米国株投資に移行したんですけど、そのタイミングで米国株でいけるやんと思いましたね。

あのタイミングって確かBRICsに勢いがあった頃ですよね?
もう過渡期かな。

僕が始めた頃は、打倒金持ち父さんというブログを書いてる人がいて。
その人は中国株から米国株に乗り換えたっていうのを書いてて。
僕とその人しか日本人で買ってないんちゃうかぐらいに思ってましたね。

米国株の投資環境が整ってきたのも人気が出てきたのも、ここ数年で急激にっていうイメージです。

2008年のリーマンショックで株価が落ちきる前は、僕も中国株をやってたんですよ。
その後に米国株に完全に切り替えたんです。
当時はVOOとかはなくて、SPYっていうS&P500のETFが普通に買えたんで。
これ1個だけで、もう正解やんと思いましたね。

米国株がらみで、もうひとつ聞かせてください。
今って米国株と全世界株の2つが人気を博してますよね。
その2つの中で全世界株ではなく、米国株を選ばれた理由は何ですか?

その2つっていうのはもう両巨塔で。
イメージでいうと富士山の山頂で、どっちが10センチ高いかを比べているみたいな感じなので、どっちでもいいっていうのが基本的な考え方で。
あえてその2つを比べると、リターンもリスクも米国株の方が高いんですよ。
シャープレシオっていうんですけど、リスクあたりのリターンは米国株の方が高くて。

確かにそうですね。

ゲームチェンジというのは必ずあって、いろんな国が優勢な時代が移り変わるので、米国1強はずっと続くわけじゃなくて。
多分20年後はインドとかインドネシア、アフリカ諸国が台頭してくるのはわかっているんですけど。
あと5年は米国株が勝ち続けるだろうっていう予想で、僕も自分自身を全然信用してないんですけど。
例えばインドとかアフリカの企業がすごい効率の良いシステムを作ったとしても、それを世の中にローンチするために米国大企業の力が必要になってくるんですよ。
このパワーバランスが逆転するまでは米国株の方が有利だろうと思っているので、米国株を買っているっていうのが基本ですね。

まだまだ今の情勢を見てると、米国無しの世界経済って想像できないですもんね。

僕もある程度毎日株価見てるんで、バランスが変わりそうになったら肌で感じられると思って、全世界株にしてないっていう感じですね。
とはいえ米国株と全世界株どっちという質問は、本当はわかんないんですよね。
わかんないというか、アメリカ人がどんだけ頑張るかで決まる、みたいな。
育休で疑似FIRE体験『子供への投資が一番大事だし割がいい』

カーネルさんは既にFIRE達成されているということで。
FIRE達成の一番大きな要因はなんですか?

リベシティっていうオンラインコミュニティに入って、個人事業主とかFIREしてる人に実際に会ったことですね。
人間って一番近くにいる5人の平均になるって言われてて、僕のまわり100人全員サラリーマンやったんですよ。
なのでその状態だったら多分ね、資産収入が支出を超える状態になっても、FIREするっていう発想にならなかったと思うんですね。
65才まで務めるのが普通やでって、周りが普通の人だったら絶対そう思ってたはず。

確かに会社で副業とか投資っていうキーワード、誰にも刺さる気がしないです。
次もFIREつながりで、FIRE達成前後で最も大きく生活が変わった部分はなんですか?

僕の場合はFIRE達成っていうのは2021年の年末なんですけど。
その前も3年間育休取ってて、その3年間の育休とFIRE後っていうのはあんまり変わらないですね。
3年間の育休を取る前との違いっていうのは、優先順位の高いことを選択して行動できるようになったことですね。

優先順位の高いことを選択するというと?

育休取ってなかったら、残業100時間とか普通にしてたんで。
イメージですけど自分ができる100%のキャパの中に300%ぐらいの仕事が来て、なんとか残業して200%こなすけど、あと100%残務が残るぐらいの状態だったので。
その状態で自分にとって優先順位が高いことをやろうって状況じゃなくて、300%の仕事をこなすことをまず考えないといけないんで。

恒常的な残業はしんどいですよねぇ。

今の自分にとって人と交流するのがすごく重要で、優先順位が高いことやってわかるんですけど。
やっぱり仕事を優先することによって、自分の人生全体の優先順位の高いことを考えられなかった。
七つの習慣でいう第2領域と呼ばれる、急がないけど重要なことに取り組めるようになったのが、すごくデカいかなと思いますね。

ちなみに今取り組まれてる、急がないけど重要なことってなんですか?

一番大事なのは育児なんで、育児をするために当然育休を取って。
もう妊娠5ヶ月から育休取りますんでって言って取ったんで、育児が最優先なんですけど、それ以外はリベシティの活動になっていて。
リベシティに入ってなかったら、絶対65才まで意味のない残業をずっとやって、家庭にもほとんど入れなくて育児に参加できなかったかなと思うんで。
なのでリベシティにたどり着いた人が、リベシティの価値に気づくところまで道案内することですかね。

恩返しみたいなイメージですね。
ほかにも何かあったりしますか?

僕は投資が専門なんで、投資顧問という資格を取ろうと思っていて。
それがないと個別で指図してはダメなんですね。
なので投資顧問を取って、リベシティの人にもっと投資の提案をできる状態になりたいなと思います。

ありがとうございます。
育児が最優先とのことですが、育休の取得って難しくなかったですか?

育休って国の制度なんで、言ったもん勝ちなんですよ。
たまに中小企業やから育休制度ないねん、って言ってる人がいるんですけど。
それって「うち中小企業だから選挙権ないんですよ」って言ってるような感じで、そんなわけないんですよね。

選挙権で例えるとわかりやすいですね。

1991年に育児・介護休業法というのができて、今の原型になってるんですけど。
これで1年は確実にとれて、保育園落ちたという実績があれば2年取れるんですよ。
しかも従業員が2年って言ったら、会社はそれを縮めたり駄目ですって言えないんですよね、育児・介護休業法の6条に載っているので。
それをもし縮めなさいよって言ったら、会社に処分が下されるんですよ。

かなり申請する側が有利になってるんですね。

2022年の4月にその法律がさらに強化されて。
子供ができた人には、「あなたは育休取れますよ」って会社側が言わないといけない、っていう法律ができたんですよ。
さらに社会に対して男性育休取得率を公表しなければいけない、っていう条文もできたんですよ、これは2023年の4月から。

育休取得率の公表義務は全然知りませんでした。

先進国でも男性が半年以上育休を取れる国って日本だけなので。
スウェーデンとかの福利厚生がしっかりしてる国よりも、育休制度に関しては日本がめちゃくちゃ進んで優遇されてる。
制度はめちゃくちゃ優遇されているのに、それを使ってないんですね。

制度的には北欧より充実してるんですね!

政府の公表だと男性育休取得率は14%なんですけど、そのうちの80%は1カ月以内なので。
とある企業の男性育休取得率100%なんですよ、でもほとんど1日。
1日取らせただけで100%って言ってるだけ、みたいな感じなんで。

世知辛い。

しかも育休中って手取りの90%ぐらい給付金もらえるんですよ。
なのでお金で困ることは多分ないので、あとは取るかどうかだけで。
僕としては義務化していいと思っています。

子どもってかわいいだけじゃないですしね。

育児って1人でやってるとほんま重労働。
僕もかなりしんどい仕事いっぱいやってきましたけど、子育てって一番大変なんですよね。
2人でやると、育児は楽しみながらできるようになります。

間違いない。

人間って1人産まれると、生涯で2億円稼ぐんですね。
例えば税金20%で、1人で4,000万ぐらいの税収が上がる計算なんですよ。
だから人口が増えるような施策は絶対元が取れる投資なんで、これを進めないと今の少子高齢化っていうのは改善しないんかなと。
ハンガリーとかは子供を産むと所得税が減税されて、約400万円の無利子ローンが組めて。
そして3人目の子供を産むと、そのローンの返済をしなくて良くなるんですよ。
更に4人目の子供を産むと一生所得税ゼロになるとか、子供を産みたくなる施策が実行されてるんですね。
日本もやろうと思えば、これくらいできるはずなんですけどね。。。
FIRE達成した今やりたいこと『投資の魅力を伝えて笑顔を増やす』

FIRE達成されたということで、もう食い扶持のために働く必要はないのかなと思います。
そんな中で、これからやっていきたいことはなんですか?

子供ができてその子を成人させたら、僕の人生は幸せやったと言えるなと思っていて。
そういう意味ではもう、なんか満足してる感じなんですよね。

すごく幸せな家庭像ですね。

突っ込まれなかったんで自分で言うんですけど、僕カラアゲニストっていう唐揚げのソムリエの資格を持っていて。
これミシュランの覆面調査員の唐揚げ版みたいなやつで、僕が世界唐揚げランキングを作ってます。

ほんまにこういう資格があるんですか?

ありますよ、社団法人日本唐揚協会から認定されてるんで。
18万人いますよ。

18万人も!結構いますね。

唐揚げ嫌いな人は日本にいないんですよ、そんなことないけど。
唐揚げ協会のモットーは唐揚げを食べてる人に泣いてる人はいない。
全人類が唐揚げを食べればみんな幸せな笑顔があふれる。
みんなが唐揚げを食べれば戦争が起こらない世界平和が訪れる。
みんなで唐揚げを食べようっていう。
唐揚げでなくても、コロッケでもエビフライでもなんでも通じるんですけど、もうそこは唐揚げで。

(笑)

僕のモットーとして、人間は笑うために生まれてきたと思っていて。
自分で判断するときも、人生トータルで笑ってる時間が長くなるだろうということを基準にして。
なので自分が笑える量を増やすことが目標というか、目的になってる感じですかね。

なるほど。

そのためにリベシティの中で投資のことを教えるっていうのが、すごくやりがいを感じていて。
一般でも投資の講師をやってるんですけど、大体理解されないんで。
理解されないというか、全然行動せんやろなっていう感じで、なんかいい話ありがとうございましたと言われるんですね。
一方でリベシティの人って的確に質問されるし、回答に対してちゃんと行動してくれる。
なんていうんですかね、他の人を進歩させるというか。
リベシティの全員を経済的自由に近づける、っていうのがリベシティにいる理由のひとつなんですけど、それに近いですね。

キチンと言葉が響く人たちとのやり取りは楽しいですもんね。
今の投資環境について、何か思うことはありますか?

たまたまこの日本に生まれて、米国株に日本から普通に投資できるっていうのは、もう本当に夢の時代なんですね。
この時代に生まれたからできるのであって。
インデックスに投資するのって、20年前だと本当にそんな夢みたいなもんあったら誰でも買うやん、って言われたものが今ある状態なんです。

そんなにもスゴイことだったとは!

市場全体の70%がファンドマネージャーとかの大口の取引で。
その人たちが企業を分析して、このタイミングでこの量買うべきだっていうのを毎日毎日研究した、最適な行動の結果がインデックスに反映されるんですね。
インデックスに15年間勝ち続けるファンドって上位10%ぐらいなので、インデックスを持ってるだけで優秀な人たちが運用する会社の上位10%に入れる。
インデックスがやってるのって、こういうことなんです。

再現性の高さがいいですよね。

インデックスとかETFってほんとすごくて。
例えばアマゾンが1%上がったら1%買う、1%下がったら1%売るっていうのを、コンマ何秒レベルで全体をリバランスしながら売買する、神業みたいなことをやっていて。
これができたら現代ポートフォリオ理論でいう、リターンそのままでリスクだけを抑えるっていうのが究極的にできるんですけど。
そんなことできるかいって思われてたのを、バンガードは経費率0.03%でやってくれて、それを日本からスマホでポチポチっと買える時代なんで。

便利になりましたねぇ。
便利になる前あんまり知らないんですけど。

僕もそれに気づいたのが早かったんで、FIREできたんかなと思ってるんですけど。
リベシティに20~30代で入って行動できる人たちって、もうみんな勝ち組というか人生上がれる状況になるので、だからこそ魅力に気づかずに辞めてしまうのはすごくもったいない。
だから僕がFIRE達成した状態からの目標というのは、世の中の数多のサイトからリベシティにたどり着いた人に、リベシティの魅力に気づいてもらうお手伝いをすることですね。
インタビュー後記
投資信託やETFで米国株に安い手数料でアクセスできるようになったのはここ数年の話。
もっと前から投資を始めていれば、なんて思うかもしれません。
でも15年もさかのぼれば、優良な投資信託なんてなくて、個別株を買い集めるしかない世界です、しかも単元で。
今の時代でお手軽に投資できるのは、本当に夢のような状況なんだなと、今回のインタビューを通じて感じました。
カーネルさんは20年以上の投資経験を生かして、インデックス投資の仕組みについて情報を発信されています。
インデックス投資に興味がある人はぜひ一度見てみてはいかがでしょうか。