書評

投資ブロガーNightWalkerさんの著書。
投資初心者に向けて、インデックス投資のイロハが一通り解説されています。

最大の魅力はアーリーリタイア済みの著者が語る、インデックス投資の出口戦略です。

日本のインデックス投資環境が整備されてきたのはここ数年の話。
長期投資を実践して出口にまで至った人は、まだ多くありません。

だからこそ経験者が語る出口戦略はとても貴重です。

投資初心者だけでなく、出口戦略に興味がある方にもぜひ読んでほしい一冊になっています。

『世界一ラクなお金の増やし方』概要

    • 序章 そしてインデックスファンドが残った
    • 第1章 そもそもインデックス投資ってなに?
  • 第2章 「つみたてNISA」で超おトクに始めよう
  • 第3章 「長期投資に出遅れナシ」っていうコレだけの理由
  • 第4章 ど素人でもお金が育つ運用のツボ
  • 第5章 暴落を利益に変えるシンプルなリスク管理法
  • 第6章 アーリーリタイアする時チェックしたこと
  • 第7章 世界一カンタンゆるトク出口戦略

全7章、208ページ。
とても読みやすい文章で、2日くらいで読み終えました。

インデックス投資ってなに?という、基本のキから始まる本書。
投資の知識が無くても無理なく読み進められます。

第1章から第5章までが、始め方から続け方の話。
目新しさはありませんが、とても丁寧に分かりやすくまとめられています。

第6章から第7章が終わらせ方の話。
アーリーリタイア経験者の口から語られる、リアルな出口戦略は必読です。

『世界一ラクなお金の増やし方』印象に残った3つのポイント

特に印象に残ったポイントを、3つ紹介します。

  1. インデックスファンドのメリット
  2. アーリーリタイアのシミュレーション
  3. アーリーリタイア達成者が語る出口戦略

本書には、著者が実際に長期投資を実践してきた、生きた知見が盛りだくさんです。

沢山の知見を読み、わたしが何を考えたのか。
本書の魅力と共にお伝えします。

インデックスファンドのメリット

メジャーな株価指数であれば、仮に償還があったとしてもカンタンに代替ファンドを見つけることができます。

インデックスファンドの代表的なメリットは以下の通り。

  • コストが安い
  • 手軽に分散できる
  • 再現性が高い

どれも事実ですがひとつ、大事な視点が抜けています。

その視点とは何か、筆者の言葉を借りると。
「メジャーな株価指数であれば、仮に償還があったとしてもカンタンに代替ファンドを見つけることができます。」

  • アクティブファンド

    特定の指数に連動しておらず、運用はファンドマネージャーの手腕に委ねられる。
    代替品を探すのが難しい。

  • インデックスファンド

    メジャーな株価指数に連動する商品が複数ある。
    代替品がカンタンに見つかる。

ファンドは永続的なものではありません。
だからこそ乗り換えやすさという観点が、長期投資には必要なんだなと実感した一節です。

MORNINGSTARで投資信託の本数を調べてみると。
※2021年10月7日時点

  • 総数:5836本
  • 運用期間15年以上:1168本
  • 運用期間20年以上:472本
  • 運用期間30年以上:41本

15年以上運用が続くのは2割、20年以上は1割以下、30年以上は1%にも満たない。
長期的に残る投資信託は、こんなにわずかなんですね。

アーリーリタイアのシミュレーション

  • (1)年金はどのくらいもらえるか?
  • (2)年金受給開始までの生活費は?
  • (3)運用資産はどうなるか?

著者はアーリーリタイアの達成にあたって、3つのシンプルな判断基準を提示しています。
それが上記の引用部分です。

年金を考慮しているところに、ここに最近のFIREの論調とは少し違ったものを感じました。


近ごろ流行りのFIREでは、年金は考慮せず金融資産の運用だけで経済的自立を論じるきらいがあります。
Financial Independence, Retire Early:経済的自立と早期退職

FIREには早期退職も含まれます。
早期退職と年金は相反するもの、というのもわからなくはないですが・・・。

30代以下の年代でFIREを達成するのは、ほんのわずか。
実態として40代、もしくはそれ以降にFIRE達成の兆しが見えてくる方が大半です。

であればこそ、ずっと受給できる最強の金融資産である公的年金を、考慮すべきだと思うのです。

書籍内ではねんきんネットが紹介されています。
ねんきんネットでは将来の年金受給予定額を、スグにシミュレーション可能です。

平均値ではなく、自分がいくら貰えるのか。
具体的な数字を見ると、道筋もはっきりします。

年金受給額のシミュレーション、面白いのでオススメです

アーリーリタイア達成者が語る出口戦略

資産活用期も資産運用のやり方は全く変わらない

お金の運用を、2つのフェーズに分けて考えてみましょう。

  1. 資産形成期

    働きながらお金を貯める時期

  2. 資産活用期

    貯めたお金を使っていく時期

どちらにおいても資産運用のやり方は全く変わらない、というのが著者の主張です。

前提として、出口が近くならないと分からないことは多いです。
それを踏まえつつ、もう少し詳しい内容を見てみましょう。

  • (1)給料をもらっているうちは、ひたすら積み立てる。
  • (2)生活防衛資金もひっくるめて全財産で管理する。
  • (3)全財産をリスク資産:無リスク資産=1:1でリバランスし続ける。

資産運用とは突き詰めれば、リスク資産と無リスク資産が1:1になるようにリバランスし続けること。
これぐらいシンプルな考え方で、必要なお金を定率で崩していくのが著者の出口戦略です。

つまり資産形成期も資産活用期も、変わらず資産運用し続ける。
変化があるのは以下の2点。

  1. 資産活用期は収入が減ってリスク許容度が下がる
  2. 積み立てから取り崩しに変わる

ひとつ気を付けなければいけないのは、資産活用期で投資をやめてしまうこと。

資産活用期は資産形成期と同じか、もしかするとより長い期間続くかもしれません。
ということは何度か暴落に巻き込まれる可能性が高いということ。

暴落に巻き込まれたとき、投資をやめてしまっては元の木阿弥です。

書籍の中では面白いシミュレーションが紹介されています。

20年間のうちに暴落が2回、1年目と20年目を比べて株価が全く成長しなかったケース。
これで貯金と投資のどちらの方が資産が長持ちするか、という内容です。

その結果がどうなるのか、気になる方はぜひ書籍を確認してみてください。

出口戦略の根幹は金融リテラシー

つまるところ出口戦略とは、金融リテラシーです。
例を挙げると・・・。

  • リスク資産と無リスク資産を1:1で運用し続ける
  • 暴落でろうばい売りしない
  • 高騰でリスク許容度以上に買いこまない

だからこそ若いうちからインデックス投資を始める。
相場の波や、実際にリバランスを体験する中で金融リテラシーを磨く。

今こうやって金融リテラシーを上げようと知識を得ているこの瞬間。
これこそが何物にも代えがたい資産になるのかもしれません。

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インデックス投資の出口戦略に興味がある人に読んでほしい一冊

インデックス投資の始め方から終わり方まで、丁寧に解説された一冊。
特にアーリーリタイア済みの著者が語る出口戦略は必見です。

わたし自身は、まだまだ資産形成期の道半ばです。

Retire Earlyというほど若いうちに退職できる見込みは、今のところありません。
にもかかわらず本書を読むまで、人生設計から年金がすっぽり抜けていました。

理由はさておき、ねんきんネットで受給額を計算してみると・・・。
今の生活水準と比べてそこそこの額を貰えそうでした。

年金は、平均受給額ではなく、あなたがいくら貰えるのかが大事です。
面白いのでぜひ一度シミュレーションしてみてください。

本書『世界一ラクなお金の増やし方』。
長期投資を実践してこられたNightWalkerさんの知見がいくつもちりばめられています。

きっとあなたの投資人生に、気づきを与えてくれる一冊です。

参考サイト

記事執筆にあたり、参考にさせていただいたサイトの一覧。