金融業界のプロ、北村けいさんの著書。
昨今では珍しく8資産均等型インデックス投信をメインに解説された投資本です。

米国株や全世界株はどっちもピンとこない・・・。
という人は一度読んでみると新たな発見がありますよ!

8資産均等型インデックス投信のメリット・デメリットはもちろんのこと。

2021年8月に第1刷が発行された新しい本。
なので最新の投資動向も丁寧にフォローされています。

次の流行は何がくるか、アンテナを張っておきたい方にもオススメです。

『金融のプロが実はやっている最もシンプルで賢い投資の結論』概要

  • 第1章 大公開―『長期・分散・積立投資』13年間の投資結果
  • 第2章 「老後資金2000万円」は本当に必要か?
  • 第3章 活況な市場はコロナ・バブルか?
  • 第4章 資産運用の科学~『長期・分散・積立投資』はなぜ勝てるのか?
  • 第5章 資産運用実践編
  • 第6章 資産運用のニューノーマル(新しい常識)
  • 第7章 明るい未来のために

全7章、250ページ。

第1章、著者のプライベートでの投資結果の解説から始まり。
第2章と第3章は話題になった2000万円問題やコロナ・バブルの話に移り変わります。

第4章と第5章は長期投資の教科書のような内容。
8資産均等型インデックス投信を主軸に据えた、チョット珍しい内容です。

第6章からは未来の話。
株式以外の投資対象として、金と暗号資産、ESGが取り扱われています。

8資産均等型インデックス投信に興味がある人はモチロン。
これからの投資トレンドに興味がある人も、得るものが多い一冊です。

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『金融のプロが実はやっている最もシンプルで賢い投資の結論』印象に残った3つのポイント

特に印象に残ったポイントを、3つ紹介します。

  1. 老後資金2000万円問題 報告書の読み方
  2. 8資産均等型インデックス投信のメリット・デメリット
  3. 最新の投資動向~ESG投資について~

東証1部上場企業の現役CFO(最高財務責任者)が書いた本書。
長らく業界に携わったからこその、鋭い洞察が随所に光ります。

その中でも、特に知ってほしいポイント。
3つに厳選して本書の魅力を伝えます。

老後資金2000万円問題 報告書の読み方

記憶に久しい老後資金2000万円問題。

当時のメディアは2000万円もの大金をどうやって用立てるのか。
不安をあおる報道が多数派だった記憶があります。

その老後資金2000万円問題について、金融のプロならではの視点から解説されています。

重要なポイントは2つ。

  • 老後世代は貯蓄が2000万円超あるから月5万円強の赤字を計上できているのであり、全く問題ない
  • 一方でこの報告書は将来推計ではないため、若者は将来に対する備えが必要である

老後資金2000万円問題を報告書記載の数字から理路整然と読み解く。
さすがその道のプロはなぁと思ったポイントです。

老後資金2000万円問題こと、金融審議会 市場ワーキング・グループ報告書「高齢社会における資産形成・管理」。
Web上に公開されており誰でも自由に閲覧できます。

報告書を読んでみて過去の報道のように不安をあおられるのか、著者のように数字を読み解けるのか。
自分の金融リテラシーを知るためにも、原本を読んでみると面白いかもしれませんね。

8資産均等型インデックス投信のメリット・デメリット

本書の最も特徴的なポイントはココ。
流行りの米国株ではなく、8資産均等型インデックス投信をメインの投資対象にしていること。

著者が挙げている8資産均等型インデックス投信のメリットとデメリットを見てみましょう。

メリットはとにかく何もしなくてよい点。
以下8資産が12.5%ずつになるよう、リバランスし続けてくれます。

  • 国内株式
  • 先進国株式
  • 新興国株式
  • 国内債券
  • 先進国債券
  • 新興国債券
  • 国内リート
  • 先進国リート

そもそもなぜ8資産均等型インデックス投信が良いの?というと。
相関が低い資産を組み合わせた方がシャープレシオが高まるから。

もう少しわかりやすくいうと。
株式と債券など異なる資産を組み合わせたほうが、同じリスクでも大きなリターンを得られるということ。

ここの詳しい話も書籍内では具体的な数字を用いてわかりやすく解説されています。

デメリットは相場に乗っていけないこと。

例えば先進国株式の調子がよいとき。
全体の12.5%しか含まれていないので、株高の恩恵も1/8です。

このデメリットを解決する方法としてコア・サテライト戦略が紹介されています。
そちらはぜひ本書を手に取って確認してください。

なぜ手放しに人気とは言い切れない8資産均等型インデックス投信をメインに据えているのか。
ではなく。
米国株が台頭する現在も8資産均等型インデックス投信に投資し続けている。

得るべき教訓はココ。

8資産均等型でも米国株でも全世界株でもなんでも。
一度決めたらコロコロ乗り換えずに、ずっと保有し続けるのが成功の秘訣。
これが、本書からわたしが受け取ったメッセージです。

最新の投資動向~ESG投資について~

最後に紹介するのはESG投資。

E(Environment:環境)S(Social:社会)G(Governance:ガバナンス面での活動や実績)
上記を考慮して行う投資です。

大ざっぱにいうと、SDGsに積極的な企業に投資しよう!という感じ。

一時的に話題になっているだけですぐに廃れるのではないか、と考えている方もいるでしょう。
これに対する著者の意見を引用します。

「金融資本市場」と「地球に優しい」の融合、あるいは「Profitability(収益性)」と「Sustainability(持続可能性)」の融合という点で、今回の動きは過去に見られた一過性のブームとは大きく異なる、と筆者は考えています。

S&P500で有名なS&P Dow Jones Indices。
彼らも指数の特徴の中にカーボン特性を記しています。

S&P500指数のカーボン特性
引用元:S&P Dow Jones Indices

かの有名なS&P500もカーボン特性を考慮する。
時代はもう、ここまで進んでいます。

ここで気になるのが、個人投資家も積極的にESG投資すべきなのかということ。
もういちど、著者の意見を引用しましょう。

結論を言えば、現時点で個人投資家がESG投資を行う必要はない、と筆者は考えています。

著者がこう考える理由は大きく2つ。

  • ESG投資が市場平均を上回るかどうかわからないから
  • ESG銘柄には、一部、胡散臭い側面があるから

まだ市場が過渡期で、素人が手を出すには難易度が高い。
もう少し投資環境が整備されてからでも遅くはない。
といったところでしょうか。

わたしはこの流れが続く限り、個人投資家も否応なくESG投資に傾いていくと思います。

例えばS&P500のTesla。
環境に配慮した自動車というコンセプトで株価を急上昇させた企業です。

2020年12月にS&P500に組み入れられたかと思えば。
今ではS&P500のTop10に顔を連ねています

ESG投資の流れが加速するなら今後もTeslaのような企業が増える。
ということは指数の中身もESG志向な企業に刷新されていく。

つまり特に意識しなくても、勝手にESG投資の比率が高まっていく、という寸法です。

ニューノーマルとしてESG投資の流れがある。
これは投資の意思決定において知っておいた方がプラスになると思い、最後に取り上げました。

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8資産均等型インデックス投信に興味がある人に読んでほしい一冊

『金融のプロが実はやっている最もシンプルで賢い投資の結論』は、8資産均等型インデックス投信を主軸に置いた投資本です。
2021年8月発売なので、ここ最近の話題も盛りだくさん。

以下のような方には特にオススメです。

  • 8資産均等型インデックス投信に興味がある人
  • 最新の投資動向を知っておきたい人

金融業界を生業としてきた著者が語る経験談や考察は必見。
あなたの投資リテラシーをグンと高めてくれること間違いなしです。