【最終更新日:2022年10月6日】
インデックス投資の王道、全世界株として有名なMSCIと
正式名称は以下の通り。
- MSCIオール・カントリー・ワールド・インデックス
Morgan Stanley Capital International All Country World Index
以下、MSCI ACWI - FTSEグローバル・オールキャップ・インデックス
FTSE Global All Cap Index
以下、FTSE GACI
2つの指数の大きな違いは含まれる株式の数。
3倍以上の差があります。
※2022年9月末時点
- MSCI ACWI:2,900株
- FTSE GACI:9,536株
ここ10年のチャートはこの通り。

※ACWI:MSCI ACWIに連動するETF。※VT:FTSE GACIに連動するETF。
どちらもチャートの動きは、ほぼ変わりませんね。
指数の中身は大きく異なる。
その一方で利回りには差がない。
つまり商品選びの観点で、指数自体に優位性はありません。
それよりも信託報酬が安い商品を選ぶのが重要です。
この記事では2つのポイントを解説します。
- MSCI ACWIとFTSE GACIの違い
- 信託報酬が安い投資信託・ETF
全世界株式ってなに?という方から、どちらを選べばいいかわからない!という方まで。
あなたの疑問に答えます。
MSCI ACWI~先進国と新興国の大・中型株をカバーする指数
MSCIとは、モルガン・スタンレー・キャピタル・インターナショナルの略。
S&P500にも組み込まれている企業です。
企業名がそのまま指数名にも使われています。
代表的な指数を挙げると。
- MSCI ACWI
- MSCI JAPAN
- MSCI コクサイ
などがあります。
MSCI ACWIの主な特徴は以下の通り。
- 先進国23カ国、新興国24カ国の計47カ国が対象
- 大・中型株の2,900銘柄に投資
- 全世界株式市場の約85%をカバー
- 浮動株調整後時価総額加重で重みづけ
※浮動株とは発行済み株式のうち、会社の創業者や経営陣などが保有し、取引できない大量の株式を除外したもの。
FTSE GACI~先進国と新興国の小型株までカバーする指数
FTSEは特に何の略でもなく、フッツィーと読みます。
英国企業なので、S&P500には組み込まれていません。
※S&P500は米国企業のみで構成されるため。
FTSEの代表的な指数は以下の通り。
- FTSE GACI
- FTSE JAPAN
- FTSEカイガイ
そしてFTSE GACIの主な特徴はコチラ。
- 先進国25カ国、新興国23カ国の計48カ国が対象
- 大・中・小型株の9,536銘柄に投資
- 全世界株式市場の約98%をカバー
- 浮動株調整後時価総額加重で重みづけ
※浮動株とは発行済み株式のうち、会社の創業者や経営陣などが保有し、取引できない大量の株式を除外したもの。
MSCI ACWIとFTSE GACIを徹底比較
MSCI ACWI | FTSE GACI | |
---|---|---|
対象の国 | 47カ国 | 48カ国 |
対象の株式 | 2,900銘柄 | 9,536銘柄 |
構成国比率トップ | 米国 61.98% | 米国 60.59% |
セクター比率トップ | 情報技術 20.76% | 情報技術 19.93% |
構成銘柄比率トップ | Apple Inc 4.34% | Apple Inc 3.64% |
5年利回り | 4.9% | 4.7% |
MSCI ACWIとFTSE GACIを比べてみます。
やはり最も目を引くのは対象の株式。
その差は3倍以上。
その他の項目も含めて、詳しく見ていきましょう。
対象の国
- MSCI ACWI
先進国23カ国、新興国24カ国
計47カ国が対象 - FTSE GACI
先進国25カ国、新興国23カ国
計48カ国が対象
MSCI ACWIとFTSE GACIで、扱いが異なる国を表にまとめました。
MSCI ACWI | FTSE GACI | |
---|---|---|
先進国 | ━ | ポーランド 韓国 |
新興国 | ペルー共和国 ポーランド 韓国 |
パキスタン ルーマニア |
対象国の違いは大きく3つ。
- ポーランドと韓国の扱いが、先進国か新興国かで異なる
- ペルー共和国はMSCI ACWIにだけ含まれる
- パキスタンとルーマニアはFTSE GACIにだけ含まれる
MSCI ACWI | FTSE GACI | |
---|---|---|
先進国 | アイルランド イスラエル イタリア オーストラリア オーストリア オランダ カナダ シンガポール スイス スウェーデン スペイン デンマーク ドイツ ニュージーランド ノルウェー フィンランド フランス ベルギー ポルトガル 英国 香港 日本 米国 |
アイルランド イスラエル イタリア オーストラリア オーストリア オランダ カナダ シンガポール スイス スウェーデン スペイン デンマーク ドイツ ニュージーランド ノルウェー フィンランド フランス ベルギー ポーランド ポルトガル 英国 韓国 香港 日本 米国 |
新興国 | アラブ首長国連邦 インド インドネシア エジプト カタール ギリシャ クウェート コロンビア サウジアラビア タイ チェコ チリ トルコ ハンガリー フィリピン ブラジル ペルー共和国 ポーランド マレーシア メキシコ 韓国 台湾 中国 南アフリカ |
アラブ首長国連邦 インド インドネシア エジプト カタール ギリシャ クウェート コロンビア サウジアラビア タイ チェコ チリ トルコ パキスタン ハンガリー フィリピン ブラジル マレーシア メキシコ ルーマニア 台湾 中国 南アフリカ |
※MSCIとFTSEで先進国と新興国の扱いが違う国は緑、どちらかにしか含まれていない国はオレンジで記載※2021年12月:MSCI ACWIからアルゼンチンとパキスタンが除外※2022年3月:MSCI ACWIとFTSE GACIからロシアが除外(関連ニュース – Bloomberg)
対象の株式
次は対象となる株式を見てみましょう。
※データは2022年9月末時点
- MSCI ACWI
大・中型株2,900株
- FTSE GACI
大・中・小型株9,536株
FTSE GACIの内訳は以下の通り。
- 大型株 1,907株
- 中型株 2,266株
大型株+中型株 4,173株
- 小型株 5,363株
大・中型株だけでも1,000株以上、小型株を加えると6,000株以上の差があります。
構成国比率トップ5
MSCI ACWI | FTSE GACI | ||
---|---|---|---|
米国 | 61.98% | 米国 | 60.59% |
日本 | 5.37% | 日本 | 6.09% |
英国 | 3.69% | 英国 | 3.83% |
中国 | 3.49% | 中国 | 3.41% |
カナダ | 3.14% | カナダ | 3.09% |
全世界株という名前ですが、約6割が米国に偏っているのが特徴です。
日本も2位につけていますが比率は6%ほど。米国の1/10しかありません。
セクター比率
MSCI ACWI | FTSE GACI | ||
---|---|---|---|
情報技術 | 20.76% | 情報技術 | 19.93% |
金融 | 14.55% | 金融 | 14.48% |
ヘルスケア | 12.89% | 一般消費財 | 14.23% |
一般消費財 | 11.58% | 資本財 | 13.26% |
資本財 | 9.49% | ヘルスケア | 12.20% |
生活必需品 | 7.65% | 生活必需品 | 6.60% |
通信 | 7.33% | エネルギー | 5.41% |
エネルギー | 5.21% | 素材 | 4.23% |
素材 | 4.69% | 不動産 | 3.48% |
公益事業 | 3.14% | 公益事業 | 3.40% |
不動産 | 2.69% | 通信 | 2.77% |
米国の影響を色濃く受けて、どちらも情報技術が1位です。
FTSE GACIに小型株が含まれる影響で、2位以降は順位に差があります。
構成銘柄比率トップ10
MSCI ACWI | FTSE GACI | ||
---|---|---|---|
Apple | 4.34% | Apple | 3.64% |
Microsoft Corp | 3.21% | Microsoft Corp | 3.00% |
Amazon.com | 2.01% | Amazon.com | 1.73% |
Tesla | 1.36% | Tesla | 1.16% |
Alphabet Class A | 1.12% | Alphabet Class A | 0.99% |
Alphabet Class C | 1.05% | Alphabet Class C | 0.89% |
Unitedhealth Group | 0.92% | Unitedhealth Group | 0.81% |
Johnson & Johndon | 0.83% | Johnson & Johndon | 0.74% |
Exxon Mobil Corp | 0.71% | Exxon Mobil Corp | 0.63% |
Berkshire Hathaway B | 0.63% | Berkshire Hathaway B | 0.60% |
AlphabetはGoogleの親会社。
MetaはFacebookの社名変更後の名前です。
Googleが2つもランクインしている理由。
それは株式が議決権有り(Class A)、無し(Class C)にわかれているから。
※議決権とは株主総会での投票権のこと。
通常の選挙とは異なり、株主総会では保有株数が多い人ほど発言権が強い。
構成銘柄トップ10の順位は完全に一致しています。
※余談ですがトップ6まではS&P500とも完全に一致。米国の影響力の大きさがうかがえますね。
冒頭でお伝えした通り、FTSE GACIの方が銘柄数が約6,000ほど多いです。
なので、ひとつの銘柄が占める割合が低くなり、全体的に比率が小さくなっています。
過去5年の利回りと過去10年の騰落率
MSCI ACWI | FTSE GACI | |
---|---|---|
1年 | -20.2% | -20.7% |
3年 | 4.2% | 4.1% |
5年 | 4.9% | 4.7% |
※MSCI ACWIが1年前から20.2%減って、5年前からおしなべて毎年4.9%増えました。
という過去の実績をあらわした表です。

過去5年の利回りや過去10年の騰落率はほぼ同じです。
指数が持つポテンシャルは同程度。
ということは運用成績に差が付くのは外的要因。
つまり信託報酬によって利回りが大きく左右されるということ。
次は低廉な信託報酬で全世界株式に投資できる、投資信託とETFを見ていきます。
全世界株式に投資できる投資信託・ETF
ここからは全世界株式に投資できる投資信託・ETF。
その中でも特に信託報酬が安く設定されているものを紹介します。
- 投資信託とETFのどちらが好みか
- どの証券口座を使っているか、もしくは開設予定か
いくつかのケースで使い分けを考えてみましょう。
投資信託とETFの違いとは?制度面と運用面からわかりやすく解説
全世界株式に投資できる投資信託
eMAXIS Slim全世界株式 (オール・カントリー) |
SBI・全世界株式 インデックス・ファンド |
|
---|---|---|
連動指数 | MSCI ACWI | FTSE GACI |
販売手数料 | 0% | 0% |
信託報酬 | 0.1144% | 0.1102% |
隠れコスト | 0.061% | 0.012% |
純資産額 | 6,384億円 | 687億円 |
信託期間 | 無期限 | 無期限 |
まずは投資初心者にも扱いやすい投資信託から。
定額・定期買付けできます。
なので初期設定以外、手間がかからないのが魅力です。
投資信託からは2本。
- eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)
- SBI・全世界株式インデックス・ファンド
どちらもとても優秀なインデックスファンドです。
隠れコストを含めた実質コストではSBI・全世界株式インデックス・ファンドが若干優秀。
なのでどちらを選ぶか迷ったら、SBI・全世界株式インデックス・ファンドでしょうか。
【インデックスファンドの選び方】重要ポイント3選とオススメファンドを紹介
目論見書の読み方教えます!4つのポイントでファンドを理解しよう
全世界株式に投資できるETF
iシェアーズ MSCI ACWI ETF (ACWI) |
バンガード・トータル・ ワールド・ストックETF (VT) |
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---|---|---|
連動指数 | MSCI ACWI | FTSE GACI |
販売手数料 | 証券会社による | 証券会社による |
信託報酬 | 0.32% | 0.08% |
純資産額 | 181億ドル | 235億ドル |
信託期間 | 無期限 | 無期限 |
次はETF。
リアルタイムに価額が変わり、柔軟に取引できるのが魅力です。
全世界株式に投資できるETFは、いくつもあります。
その中でも信託報酬が安いものといえば、名実ともにこの1本。
- バンガード・トータル・ワールド・ストックETF(VT)
メジャーな証券会社なら、どこでも取り扱いがあります。
なのでETFで全世界株式に投資するなら、まずはVTから、というイメージです。
実質コストで比較するとFTSE GACIに軍配が上がる
MSCI ACWIとFTSE GACI。
双方とも長期的な成長が見込める、有望な投資先です。
信託報酬+隠れコストで計算する実質コスト。
ここだけで見るとFTSE GACIに連動する商品に軍配が上がります。
とはいえ誤差程度の話です。
どちらを選ぶかよりも、少しでも早く投資を始める方が、投資成績に大きな影響を与えます。
記事執筆にあたり、参考にさせていただいたサイトの一覧。