オルタナティブ投資とは、上場株式や債券など伝統的資産の代替品。
伝統的資産とは異なるリスク・リターン特性で分散効果が期待できます。
分散は期待できるのですが。
中身をよく知らないと、活用するのはとても難しい・・・。
この記事では、オルタナティブ投資とは何か、という基本的な話から。
どんな人にオルタナティブ投資が有用なのか、という少し踏み込んだ話まで。
オルタナティブに興味があるけど投資したことは無い人に向けて、最新情報をお届けします。
あなたのポートフォリオの救世主にも厄介者にも成りうるオルタナティブ投資。
上手に使いこなせば、リスクとリターンを今よりも柔軟にコントロールできるようになります。
オルタナティブ投資とは何か?
GPIFの言葉を借りるとオルタナティブ投資とは・・・。
上場株式・債券とは異なるリスク・リターン特性があり、分散投資効果が期待できる
日本の年金を運用するGPIFも、資産全体の5%を上限にオルタナティブ資産をポートフォリオに組み込んでいます。
※2021年3月末時点、1兆3,419億円(年金積立金全体に占める割合は0.70%)のオルタナティブ資産が実際に運用されています。
日本の年金の一端を支えるオルタナティブ。
その具体的な中身を見ていきましょう。
オルタナティブとは伝統的アセットの代替品(alternative)
上場株式や債券などの伝統的なアセット。
それらと異なる値動きで、リスク分散を期待する投資の総称です。
株式や債券の代替品(alternative)といわれることもあります。
オルタナティブに含まれる投資対象を思いつくままに並べてみます。
ペーパーアセットに限らず、投資可能なあらゆるものが含まれるイメージです。
※ペーパーアセットとは現金や証券、つまり株式や債券のこと。
逆に貴金属や絵画、年代物のワインなどの現物をハードアセットという。
- コモディティ
- デリバティブ
- 暗号資産
- ヘッジファンド
- 外貨
- 不動産
- インフラストラクチャー
- プライベート・エクイティ
オルタナティブ投資のメリットとデメリット
上記に挙げた以外にも様々な投資対象があるオルタナティブ。
実際に投資するとどんなメリットがあるのか。
それは保険のように、相場の急落からポートフォリオを守る効果。
もちろんメリットがあればデメリットもあります。
一番大きなデメリットは、オルタナティブを増やすほど、期待リターンが下がること。
オルタナティブのメリットとデメリットを踏まえて。
次は代表的な投資対象と、その特徴を見ていきましょう。
投資手法はアクティブ寄りで初心者には敷居が高い
代表的な投資対象を見ていく前に、ひとつだけ伝えることがあります。
オルタナティブ投資は、初心者向けではありません。
オルタナティブ投資はインデックス投資のように、愚直に積み上げるものではありません。
平時に買い集めて、有事にリスクヘッジを期待するアセットです。
そのため取引はドルコスト平均法のような、定時定額の積み立てではありません。
タイミングを計って割安株を買い集めるような、アクティブな取引がメインです。
また一言にオルタナティブといっても、そこに含まれる資産は様々。
しかも資産ごとにリスクやリターンの特性が全く違います。
アクティブな取引がメインで、資産の性格も癖が強い。
使いこなすにはそれなりの知識と経験が必要です。
繰り返しになりますが、オルタナティブ投資は、初心者向けではありません。
オルタナティブの代表的な種類
オルタナティブの投資対象は非常に多いです。
ですが下記条件を満たすものは、そんなに数がありません。
- 簡単に投資できる
- 流動性が高い
- リスクヘッジを期待できる
ここから先は、知っておくと使える場面があるかもしれない。
上記の条件を満たしたオルタナティブの具体的な投資先を2つ解説します。
- 金~有事の金でポートフォリオを底堅く守る
- プットオプション~掛け捨て保険でリスクヘッジ
金~有事の金でポートフォリオを底堅く守る~
金について押さえておきたいトピックは以下の3点です。
- 延べ棒ではなくETF
- ローリスク・ローリターン
- 有事の金
延べ棒ではなくETF
金を買うといっても、延べ棒を買って自宅に保存するという意味ではありません。
金への投資とはつまり、金に連動するETFを購入する、という意味です。
国内で知名度が高いものは『純金上場信託(現物国内保管型)【金の果実】』。
信託報酬は0.49%と若干高めですが、金の果実で一番面白いのは、ETFと金の現物を引き換えられること。
自宅に金を保管すると盗難などのリスクがあります。
このETFは保管リスクを回避しつつ、金の現物を保有できるんです。
ローリスク・ローリターン

長期のチャートを見れば分かる通り、金は値動きが小さい資産です。
つまり金への投資はリターンを狙うものではありません。
債券のようにポートフォリオの守りとして組み入れるものです。
有事の金

相場に不安感があると、金に資金が移動して価格が上がる。
これはずっと昔から見られる傾向です。
有事の金などといわれたりもします。
直近でも2022年2月から価格が上昇傾向にあります。
相場に不安感があると、というのは皆さんの肌感覚とも合うのではないでしょうか。
プットオプション~掛け捨て保険でリスクヘッジ~
世の中そんな物もあるんだなと、軽く読んでみてください。
プットオプションはオプション取引の一種。
オプションとは事前に決めた期日に、あらかじめ決めた価格で売買できる権利です。
コールとプットの2種類があり、コールが買う権利、プットが売る権利となります。
プットオプションは株価が急落したとき、損益を抑えるために使われます。
イメージは掛け捨て型保険のようなもの。
大きな特徴は、オプションの権利は使っても使わなくてもよい、ということ。
具体的な例を見てみましょう。
月初にA株が15,000円。
月末満期のプットオプション(権利行使価格15,000円、価格100円)を購入したケースでは。
月末にA株の価格が20,000円になっていたら、プットオプションの権利を放棄。
権利購入に使った100円の損失。
月末にA株の価格が10,000円になっていたら、プットオプションの権利を行使。
5,000-100=4,900円の利益。
こんなイメージです。
資産額が大きくなってきたら、こんなヘッジ方法もあるんだなと。
なんとなくのイメージは掴めたでしょうか。
個人投資家にとってオルタナティブ投資の意味とは
オルタナティブの性質上、大きな利益は望めません。
資産を増やすためではなく、リスクヘッジのために組み入れる性質が強いものです。
一部、期待リターンが高いオルタナティブもありますが、どれも機関投資家向け。
例えば積立投資を始めたての初心者のケース。
資産額が10万円未満だと、ヘッジすべきリスクがそもそもありません。
これが資産100万円台、ひいては1,000万円が見えてきたら。
金融危機で半値になると500万円近く吹き飛ぶので、そろそろヘッジが欲しくなってきます。
金融資産の落ち込みを人的資本でカバーしきれなくなってきたとき。
こういう時こそオルタナティブ投資の出番。
- 金融資産
- 人的資本
- リスク許容度
資産の中にどれくらいの割合でオルタナティブを組み入れるといいのか?
資産分配をもっと詳しく知りたい方は、こちらの記事も読んでみてください。
記事執筆にあたり、参考にさせていただいたサイトの一覧。