インデックス投資とは、インデックスファンドを15年以上の長期にわたって積み立てる投資手法のこと。
インデックスファンドとは、簡単にいうと株式の詰め合わせパックです。
初心者でもプロの投資家に並ぶ運用成績を目指せるので、世界中の投資家から絶大な支持を得ています。
でも、いざインデックス投資を始めようと思ったとき、こんなふうに困ったことはありませんか?
「インデックスファンドといっても、種類がありすぎて選べない!」
「目論見書や運用報告書、何が書いてるのかわからない!」
「検索しても専門用語が多すぎて、読む気すらおきない!」
そう、インデックスファンドは種類が多く、とっても複雑・・・。
特に専門用語が敷きつめられた目論見書は、初心者の心が折れるほど難解。
でもわたしは声を大にして言いたい。
インデックス投資は、最初のハードルさえ超えれば、後はほったらかすだけということを!
目論見書や運用報告書には、インデックスファンドの全てが詰まっています。
だから今回は、ぜひあなたにも、目論見書や運用報告書の見方を覚えてほしい!
目論見書や運用報告書の見方を知れば、はやりに流されず、中身を理解して投資できます。
ちなみに、インデックス投資は市場平均を狙う投資手法です。
なんだ平均か・・・、とガッカリしないでください。
市場平均以上を狙うアクティブファンドの約80%が、インデックスファンドに負けるという統計データもあります。
※参考:SPIVA Japan Scorecard Year-End 2020
最初のハードルを越えるだけで、80%のアクティブファンドを凌ぐ運用成果を手に入れられるというわけです。
今回は、そんなインデックス投資やインデックスファンドの魅力に迫ります!
誰でも市場平均を狙える再現性の高い投資手法、その神髄を余さずお見せしますね。
インデックス投資の魅力は誰でも市場平均を狙える再現性の高さ
冒頭でもお伝えした通り、インデックス投資とはインデックスファンドを15年以上の長期にわたって積み立てる投資手法。
インデックスファンドを積み立てるだけ、ファンド購入タイミングの影響もあまりないので、誰がやっても同じ結果になります。
誰でも80%のアクティブファンドを超える、市場平均を狙えるんです。
具体的には以下の手順でインデックスファンドに投資するだけ。
- 投資目的と目標金額を決める
- 証券口座を開設する
- 非課税口座を開設する
- インデックスファンド決める
- 積み立て設定する
- 年に1回メンテナンスする
- あとは放置する
特に大事なのが1と4、7。
重要ポイントをわかりやすく解説しますね。
投資目的と目標金額を決める
インデックス投資の目的は際限なくお金を増やし続けることではありません。
将来のどこかのタイミングで必要なお金を、少しずつ積み立てることです。
前提として、インデックス投資は15年以上の長期投資を想定しています。
例えば老後2,000万円問題や、生まれたばかりの子どもの教育費を準備するのに向いた投資です。
- いつの時点でいくら必要か(投資目的)
- 月々いくら積み立てればいいのか(目標金額)
- 積み立て用のお金を、使う予定のない余剰資金から出せるか
この3つのポイントを事前に考えるのがとても重要!
投資目的がハッキリしていないと、お金を増やし続けるゲームにとらわれてしまい・・・。
目標金額がぼやけていると、実現可能なのかもわからない・・・。
こんなのイヤですよね?
目的はあなた自身で考えるしかありません。
ですが目標は簡単にシミュレーションできます。
35歳から老後2,000万円問題に備えるとしたら、月々28,816円の積み立てが必要。
シミュレーションするとき、リターンは低めに見積もるのをオススメします。
※リターン低めって何%??と思う方は、とりあえず4%で設定してみましょう。
将来のリターンは誰にもわかりません。
世に出回っている数字は、過去の実績か、将来の希望的観測だけ。
リターンを高く見積もりすぎて、目的を達成できないと目も当てられません。
でもリターンを低く見積もって、見積もりよりも実際のリターンが高いぶんには、嬉しいだけでなにも困らないですよね。
なのでリターンは低めに見積もって、目標を設定しましょう。
インデックスファンドを決める
インデックスファンドとは、指数(インデックス)に連動して値動きする投資信託(ファンド)。
日経平均やS&P500、聞いたことありませんか?
- 日経平均
日本企業225社をまとめた指数
- S&P500
米国企業500社をまとめた指数
インデックスファンドは株式の詰め合わせパックです。
インデックスファンドならどれでもよい、というわけじゃありません。
むしろどのインデックスファンドを選ぶかで、その後のリターンが決まります。
インデックスにより成長スピードが決まり、ファンドの手数料により実質リターンが左右されます。
簡単にいうと、長期的に成長が見込めるインデックスに連動したファンドを選ぶのが大事です。
ファンドの選び方は上記記事に譲って、少しだけコストの話を。
インデックスファンドを持っているだけで信託報酬や、それ以外に通称『隠れコスト』と呼ばれる費用がかかります。
信託報酬は分かりやすい場所に書かれています。
しかし隠れコストは決算時に判明するコストなので、資料から計算しないと見えないことが多いんです。
分かりにくい隠れコストですが、運用報告書を見ればスグに計算できます。
eMAXIS Slim米国株式(S&P500)の目論見書と運用報告書を例に、隠れコストを計算してみましょう。
※eMAXIS Slim米国株式(S&P500)は、S&P500に連動するインデックスファンドの商品名。
目論見書と運用報告書のページを抜き出しました。
※実際の資料はMORNINGSTARから見れます。
左側の目論見書。
赤枠で囲ったのが隠れコストの説明部分。
ファンドを運用しないと詳細は分からないのがポイント。
右側の運用報告書。
(b)売買委託手数料、(c)有価証券取引税、(d)その他費用が隠れコストの内訳。
実際に計算してみると、0.012+0.000+0.032=0.044となります。
その年の信託報酬が0.119なので、隠れコストと合わせて合計で0.163。
この0.163%が実質コストです。
隠れコストは毎年変動します。
おおよその傾向としてeMAXIS Slim米国株式(S&P500)は、信託報酬の4割弱のコストが隠れコストとして計上されていました。
このように目論見書や運用報告書を読めると、ファンドのより詳しい情報がわかるんです。
あとは放置する
一番大事なのがコレ、放置すること。
積み立て設定してからしばらくは、購入したファンドの値動きや、ほかのファンドとの差が気になってしまうもの。
ここでファンドを乗り換えると最悪です。
何が最悪かというと、往々にして安く売って高く買ってしまうこと。
ほかのファンドが良くみえる・・・。
これって、購入したファンドが値下がって、ほかのファンドが値上がってるときですよね。
ここで我慢できずに売買すると、安く売って高く買う、いわゆる高値掴みになってしまいます。
なにもせず放置するのが市場平均を狙う一番のコツ。
手間暇かければかけるほど、市場平均を下回るのがインデックス投資というもの。
いちど積み立て設定したら、投資してるのを忘れてしまううらいの距離感がベスト。
ファンドが値下がりしたら、ドルコスト平均法でいっぱい仕入れられた、と思えるくらいがよいですね。
主要なインデックスとそれに連動する銘柄
インデックス投資するなら、米国株式か全世界株式のどちらかがメインになります。
主要な投資対象にどんなものがあるかまとめました。
表中のリンクをクリックすると詳細記事に飛びます。(工事中)
- 米国株式
世界経済をリードする米国に投資できます。
全世界株式よりも年利が高く、S&P500に至っては直近10年の平均年利13%という驚異の成績。
インデックス投資の中では圧倒的な独り勝ち状態です。 - 全世界株式
こちらは米国だけでなく全世界に分散して投資できます。
中身の約6割は米国株式、直近10年の平均年利は9%ほど。
ゲームチェンジが起きたとしても全ての成長を取り込めるのが強みです。
ジャンル | インデックス | ETF | 投資信託 |
---|---|---|---|
米国株式 | S&P500 | VOO | eMAXIS Slim 米国株式(S&P500) |
CRSP USトータル・マーケット インデックス |
VTI | 楽天・全米株式インデックス・ファンド SBI・V・全米株式インデックス・ファンド |
|
全世界株式 | MSCIオール・カントリー ワールド・インデックス |
ACWI | eMAXIS Slim 全世界株式 (オール・カントリー) |
FTSEグローバル オールキャップ・インデックス |
VT | 楽天・全世界株式インデックス・ファンド SBI・全世界株式インデックス・ファンド |
その他ポートフォリオに選ばれることの多い銘柄や、よく話題に挙がる指数はコチラ。
- 高配当株式
高配当株式は配当が多く貰える株式に投資して、不労所得の獲得に主眼を置いた投資。
日々のキャッシュフローの改善のために、インデックスポートフォリオの副菜として添えられるイメージです。 - 債券
分散の一角として投資対象に選ばれる債券。
こちらも投資元本の成長よりは不労所得を得ることが主目的です。
利上げすると債券価格が下がるので、利上げの真っ最中に手を出すのはチョット怖い。 - オルタナティブ
株式や債券などの伝統的資産とは異なる代替品。
債券と同じく分散の一角として投資対象に選ばれます。
コツコツ積み立てるものではなく割安な時にまとめて仕込むもの、なので初心者向きではありません。
ジャンル | インデックス | ETF |
---|---|---|
高配当株式 | NASDAQ100 | QYLD |
S&P500 | SPYD | |
債券 | ブルームバーグ・バークレイズ 米国総合指数 |
BND AGG |
オルタナティブ | LBMA金価格 | GLDM |
大阪取引所先物価格 | 純金上場信託 (金の果実) |
より詳しく特徴を掘り下げるには比較が有効です。
ということでいくつかの比較記事もありますので、興味があればどうぞ。
米国株と全世界株どちらがよいの?投資目的とリスク許容度から考えよう
MSCIとFTSEの違いとは?公式情報を徹底比較【毎月更新】
インデックス投資を裏打ちする理論
- インデックス投資は指数に連動する数百~数千に及ぶ銘柄に分散投資すること
- 代表的な投資先は米国株式や全世界株式であること
この2つはご理解いただけたかと思います。
でも本当に分散投資するだけでいいのか、投資って怖いものじゃないのか。
そんな思いが拭えない方のために、2つの有名な研究結果をご紹介します。
インデックス投資は何十年も前から経済学者に研究されてきた由緒正しい投資法。
学術的にもそして実際の成績も優秀な投資、ということが伝わるはずです。
- 現代ポートフォリオ理論
- トリニティスタディ
インデックス投資のデメリット3選
誰でも市場平均を狙えるインデックス投資。
ですが当然デメリットもあります。
- 元本保証がない
- ゆっくりとしか増えない
- 持っているだけで手数料がかかる
それぞれのデメリットと対処法をみていきましょう。
【デメリット1】元本保証がない
インデックス投資とは、その名の通り株式投資です。
銀行預金などとは違い、元本保証はありません。
短期的には投資した100万円が、200万円に増えることもあれば、50万円に減ることもあります。
15年以上の長期投資を前提とするので、短期の値動きに意味はないのですが・・・。
自分のお金が目減りするのを目の当たりにすると、心中穏やかでいられませんよね。
だからこそ大事なのが、余剰資金で投資すること。
生活費まで投資して、さらに株式が暴落したら、まさに泣きっ面に蜂です。
日常生活やアクシデントに備えるお金は分ける。
直近で使い道のないお金だけで投資する。
これを徹底しましょう。
【デメリット2】ゆっくりとしか増えない
インデックス投資の期待リターンは年率4%ほど。
銀行預金に比べるとかなり高いです。
ですがインデックス投資だけで早期退職できるほどのインパクトはありません。
繰り返しになりますが、インデックス投資は15年以上の時間をかけてゆっくり着実に資産を増やしていく投資手法です。
ゆっくりとしか増えませんが、誰でも簡単に市場平均を狙える、堅実な方法です。
一夜にして億り人になりたければ、投機対象が違います。
FXでレバレッジをかけるなり、仮想通貨に手を出すなり・・・。
決してオススメはしませんが。
投資目的と目標金額を見据えて、それに合った投資手法を選ぶのが重要です。
【デメリット3】持っているだけで手数料がかかる
インデックスファンドは、持っているだけで信託報酬という手数料がかかります。
将来のリターンは予想するしかありません。
ですが信託報酬は確実に引き去られます。
信託報酬は0.1%以下~1.0%以上と、ファンドによりかなりの差があります。
期待リターンが4%、信託報酬が1%とすると・・・。
信託報酬で25%、隠れコストを含めるとさらに多額の含み益が手数料として消えていきます。
信託報酬の影響は積立期間が延び、積立額が増えるほど大きくなります。
積立額1万円/積立期間15年 | 積立額1万円/積立期間30年 | 積立額5万円/積立期間30年 | |
---|---|---|---|
信託報酬0.1% | 2,440,890円 | 6,818,110円 | 34,090,552円 |
信託報酬1.0% | 2,269,727円 | 5,827,369円 | 29,136,844円 |
毎月5万円、30年間積み立てすると、
信託報酬0.1%と1%で、運用結果に500万円もの差があります。
期待リターンは選べません。
しかし信託報酬は選べます。
信託報酬が安いファンドを選び、あなたの利益を守りましょう。
インデックス投資のメリット4選
インデックス投資にはいくつかのデメリットがありました。
しかしそれを覆して余りあるメリットもあります。
- 投資の専門知識があまり必要ない
- 時間がかからない
- 手間をかけず分散できる
- 再現性が高い
それぞれのメリットを詳しくみていきましょう。
【メリット1】投資の専門知識があまり必要ない
インデックス投資は、投資の専門知識があまり必要ありません。
全く必要ない、とまでは言いませんが、他の投資手法と比べると段違いです。
投資家になりたいわけではなくお金を増やしたいだけなので、必死に勉強したくはないですよね。
個別株のトレードを考えてみましょう。
財務諸表を読み込んで、会社の経営状態を入念に調べたり・・・。
一日中チャートとにらめっこして、株価が上がるか下がるかを推測したり・・・。
これを取引する株式の数だけやるとなると、必要な知識は相当なもの。
ですがインデックス投資にはどちらも必要ありません。
極端な話、投資の知識を要するのはインデックスファンドを選ぶときだけ。
どのインデックスファンドを購入するか決める。
それだけの知識があれば十分なんです。
【メリット2】時間がかからない
インデックス投資は時間がかからない投資手法です。
最初に積み立て設定すると、あとは毎月自動で引き落としされます。
なので本当に何もやることはありません。
あまりに手間がかからず、投資していることを忘れてしまうほど。
時間は有限ですし、投資は目的ではなく手段です。
家族や趣味など、本当に大切なものに時間をかけたいですよね。
【メリット3】手間をかけず分散できる
投資には『卵は一つの籠に盛るな』という格言があります。
平たく言えば、多数の銘柄に分散して投資しましょう、ということ。
実はコレ、インデックス投資を始めた時点で既に実践できています。
インデックスファンドの購入は、連動する指数に含まれる全ての株式を購入するのと同じです。
例えばS&P500に連動するインデックスファンドを購入すると、それだけで500の企業に分散投資できます。
たったひとつのインデックスファンドを購入するだけ。
それだけで、いとも簡単に分散投資できるんです。
投資先を分散しておけば、万が一会社が倒産しても影響が和らぎます。
S&P500の例でいうと、もし会社がひとつ倒産しても、全体への影響はたったの0.2%。
とても重要な分散投資。
それを簡単に実現できるのがインデックス投資です。
【メリット4】再現性が高い
インデックス投資は誰でも市場平均を狙えます。
言い換えると、誰がやっても同じ結果になります。
同じインデックスファンドを持っていれば、同じ値動きをします。
プロの投資家だけリターンが高い、なんてことはありません。
ですが個別株のトレードだとこうはいきません。
同じ会社の株を売買してもタイミングによって、かたや億万長者に、かたや一文無しに、ということがあり得ます。
インデックスファンドを選んで、あとは愚直に積み立てるだけのインデックス投資。
株式の素人でもプロの投資家に並ぶ結果を出せる投資手法です。
よくある質問
インデックス投資にまつわる、よくある質問をまとめました。
- インデックス投資の勉強にオススメの本はありますか?
- 筆者が実際に読んだ本の中から作ったランキングがあります。
本を読めば包括的な知識が手に入るので、初心者の方には特におすすめの勉強法です。
最新情報やニッチな情報を補足したいときは、ぜひまた当サイトをご覧ください。 - 投資信託とETFの違いは何ですか?
- 一番大きな特徴を挙げると、投資信託はいちど積み立て設定するとその後は運用に時間を取られない。
ETFは柔軟な取引が可能で、相場の上げ下げを拾って利益を狙える、というところです。
他にも細かな違いがあるので、気になる方には以下の記事をオススメします。 - インデックスファンドの詳細はどうすれば調べられますか?
- ぜひ当サイトを見てください!と言いたいところですが……。
インデックスファンドを調べるときにまず確認するべきは目論見書です。
目論見書の読み方を知っていれば、インデックスファンドの全てを知ったも同然。
ということで目論見書の読み方を解説した記事を置いておきます。 - 良いインデックスファンドを選ぶコツは何ですか?
- 必ず押さえておきたい2つのポイントがあります。
良いインデックスに連動していること、信託報酬が安いことの2つです。
良いインデックスというのは米国か全世界、信託報酬が安いとは具体的には年率0.3%以下。
もっと詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。
インデックス投資で将来に備えて資産形成しよう!
まとめると、インデックス投資はこんな人に向いた投資手法です。
- 株式にあまり興味がない
- 時間をかけたくない
- ゆっくり着実に資産形成したい
インデックス投資を始めるなら、これだけは忘れないでください。
- 信託報酬や隠れコストが安いインデックスファンドを選ぶ
- 一度ファンドを選んだら売買せずに愚直に積み立てる
インデックス投資、興味がわいてきましたか?
引き続き、始め方から取り崩し方まで解説していきますので、ぜひお付き合いください。
記事執筆にあたり、参考にさせていただいたサイトの一覧。
- S&P Dow Jones Indices – SPIVA Japan Scorecard Year-End 2020
- 楽天証券 – 積立かんたんシミュレーション
- MORNINGSTAR – eMAXIS Slim米国株式(S&P500)